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【旅館業法】民泊申請で許可が取れる要件を解説します

このページでは旅館業法で民泊営業で許可がとれる要件を解説します。

旅館業の要件は必ず把握したうえで物件を検討しなければなりません。
なぜなら事業の収益性に影響するからです。

たとえば物件の接道状況によって旅館業の営業ができるのか、また新法民泊(住宅宿泊事業)しか道はないのかで分かれます。

新法民泊は、日数制限(180日/年)があるので収益性は50%下がります。できれば制限の無い旅館業で運営していきたいですよね?

このページを見ていただければ旅館業の要件と方法を知ることでき、収益性を大きく棄損するリスクを回避して安全に民泊開業が可能です。
民泊ビジネスの収益性に注目が集まり旅館業の許可取得のニーズが高まっていますが、旅館業の許可取得が現実的に難しい物件は数多くあります。

旅館業は住居より高い構造要件が設けらているためです。その理由から構造要件の内訳まで触れていきます。

このページでは旅館業の民泊について解説しますので住宅宿泊事業(新法民泊)と特区民泊については触れません。

新法民泊と特区民泊はこちらのページに解説してますので、こちらを参照してもらえたら嬉しいです。
【新法民泊】

【特区民泊】

区分 旅館業 住宅宿泊事業(新法民泊) 特区民泊
申請制度 許可制 届出制 認定制
対象地域 住居専用地域不可 住居専用地域でも可能 ※条例で不可の地域もある 特定地域
宿泊日数 制限なし 年間180日以内 最低2泊(1泊宿泊は不可)
施設基準 厳しめ 比較的緩い 新法民泊より少し厳しい
消防設備 必要 必要※家主居住型は緩和 必要

※ここで解説するのは赤文字にした旅館業法ついて。

旅館業の法改正と規制緩和をうけて

旅館業とは「宿泊業をうけて人を宿泊させる営業」と定義されています。
①宿泊料をもらい②ゲストを宿泊させる営業行為で③民泊(住宅宿泊事業)の営業でないなら旅館業の営業許可が必要です。

従来、ホテル営業と旅館業は別の構造要件が定められていました。しかし昨今の外国人観光客増加をうけ2015年以降、旅館業の許可取得施設はほぼ全てが民泊施設となりました。そのような時代背景をうけ2017年に法改正がなされ構造・設備要件が緩和されました。  

【ポイント】 旅館業は以前と比較すると営業許可が取りやすくなっています
主な緩和事項
  • 営業区分が「旅館・ホテル営業」へ統合
  • 客室の最低数要件の撤廃
  • 寝具の要件の撤廃
  • 客室の構造要件の緩和
  • 玄関帳簿の設置義務の緩和

1. 場所の要件

 まずはそもそも旅館業の営業ができない場所でないか、下記3点について契約前に確認しておきましょう。

1-①用途地域の確認

旅館業は営むことができる用途地域に制限があります。営業可能な用途地域内に該当するかまずは確認が必要です。住居専用地域工業地域では旅館業の営業ができません。 工業地域は工場が並ぶ地域なので馴染みがないと思いますが、既存の一戸建住宅や共同住宅は住居専用地域に建てられるケースがあります。
必ず用途地域を確認しましょう。 用途地域はネットで検索すれば調べることができます。

1-②特別用途区域の確認

特別用途地区とは、都市の計画的な土地利用を図るために、地域の特性に応じて特定の用途の利用増進や環境の保護などを目的として定められる地区です。
用途地域が指定されているエリアに重ねて指定される地域区分の一種で、用途地域による建築物の制限を強化したり緩めたりすることができます。 特に文教地区について確認しましょう。

文教地区は、都市計画法で定められている特別用途地区の1つで、教育や研究、文化活動の環境を確保することを目的として指定されます。
 
例えば教育施設や図書館、美術館、博物館などの文化施設が一定程度まとまった地区を対象として、好ましくない業種の進出を規制しています。
具体的には、パチンコ店やバー、映画館、劇場、モーテル、旅館などの建設が制限されます。
 
東京都では文教地区建築条例により制限をうける地域があります。

※特別用途地区により規制緩和となる場合もあります。

 

1-③近隣学校施設の有無

旅館営業の設置場所の周囲100m以内に以下の設備があり、設置によりその施設の清純な施設環境が著しく害されるおそれがある場合、許可することはできないとされています。

  • 学校教育法に規定する学校 ※大学は対象外
  • 児童福祉法に規定する児童福祉施設
  • 社会教育法に規定する社会教育に関する施設

学校の近くに児童の教育に悪影響があるような物は困る。という規制です。 逆にいえば周囲100m以内に施設が存在する場合であっても、児童へ悪影響が想定されないケースは営業許可される可能性があります。

④接道要件について ※上乗せ条例に気をつけろ

建物の接道義務は、建築基準法43条1項に規定があり、一般的な居住用建物は道路に2メートル以上接してなければならないとされています。
旅館業の開業にあたっても2mの接道義務でOKと考えがちですが、建築基準法43条3項を見てみましょう。

地方公共団体は、次の各号のいずれかに該当する建築物について、その用途、規模又は位置の特殊性により、第一項の規定によつては避難又は通行の安全の目的を十分に達成することが困難であると認めるときは、条例で、その敷地が接しなければならない道路の幅員、その敷地が道路に接する部分の長さその他その敷地又は建築物と道路との関係に関して必要な制限を付加することができる。

一 特殊建築物
二 階数が三以上である建築物

これは特殊建築物について条例で接道要件を厳しくしていいよ。という規定です。 そして東京都では下記の通り東京都建築安全条例で要件が厳しくされています。

ホテル・旅館は特殊建築物に該当します。もともと居住用建物の接道要件(2m)でよかったとしても、建物の用途変更により、旅館業では特殊建物としての接道義務(4m以上)が課されることになります。

【ポイント】 東京都の場合、4m以上の接道要件を満たせないと旅館業は不可 ※なお、新法民泊(住宅宿泊事業)は居住用の用途でOKなので関係ない

2. 設備要件

旅館業法の営業許可は3つあり、[旅館又はホテル営業][簡易宿所営業][下宿営業]に区分されています。
土地要件,構造要件はどの区分でも同じですが、設備要件は若干の違いがあります。

旅館業の種別
  • 旅館又はホテル営業・・・施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、簡易宿所営業及び下宿営業以外のもの
  • 簡易宿所・・・宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業
  • 下宿営業・・・施設を設け、1月以上の期間を単位とする宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業

旅館業の営業許可の下、民泊サービスを行う場合は[簡易宿所]で許可を取得することが一般的です。 ここでは簡易宿所に絞って解説します

簡易宿所の設備要件

簡易宿所の設備要件は以下の通りです。1つずつ説明していきます。

①客室の延床面積33㎡(宿泊者が10人以下なら1人につき3.3㎡)以上

昔は宿泊人数が1人であっても最低33㎡以上の延床面積が求められていましたが、改正されました。

②適当な換気、採光、照明、防湿、排水の設備(水回り施設)

採光、照明、防湿については居住用建物であれば供えられていますから気にしなくて大丈夫です。 排水の設備とはゲストの需要を満たす水回り設備を指しており風呂・トイレ・洗面施設の3つをいいます。

風呂について

多くは浴槽付きで、脱衣所が備わっていることが要件を満たします。 追い炊き機能付きの場合、とても厳しい消毒要件があります。

トイレについて

和式便所でも可ですが、洋式より不人気ですので積極的に設ける理由はあまりないでしょう。 ※トイレ上部に附属する「手洗い管」は洗面施設と認められない ※簡易宿所というのは多人数で共用する宿泊施設という定義ですので、男女別のトイレを各自治体の条例で規定された数だけ設置しなければいけません。

③玄関帳簿(フロント)の設置

[旅館又はホテル営業]では玄関帳簿の設置が必要ですが、[簡易宿所]では玄関帳簿の設置義務は法律上求められていません。

(平成 28 年3月 30 日付け生食発 0330 第5号厚生省生活衛生局長通知)において、上記要領の当該規定を「適当な規模の玄関、玄関帳場又はフロント及びこれに類する設備を設けることが望ましいこと。」と改正されました。

法律上は設置義務が緩和されましたが、条例で設置が義務付けられている自治体もあります。
条例は都道府県や市町村単位で定まっているので玄関帳簿要件は地域ごとに差があります。 玄関帳簿については開業する自治体の条例に従うしかありません。  

3. 旅館業の構造要件

「ホテル又は旅館」としての構造要件が課されます

民泊ビジネスは不特定多数のゲストの出入りが想定されますが、自宅で過ごす場合と比べて宿泊ゲストの防火意識は決して高いとは言い切れず、万が一火災等が発生すれば人命を奪う甚大な被害となりかねません。

ゆえに民泊施設は居住用建物より高度な防火要件が要求されています。
消防法でも旅館・ホテル・宿泊所は防火対象物とされています。 ここからは「ホテル又は旅館」の耐火要件を解説していきます。

耐火要件について

ホテル又は旅館は建築基準法でいう特殊建造物に該当します。

特殊建造物とは不定多数の人が集う建築物や防火上特に注意すべき建築物で、規模が大きいと耐火建造物としての構造要件が課されます。
ホテル、旅館については  

  • 3階以上の階を旅館業に供する建物(階数が3で延べ面積が200㎡未満の旅館であって、政令で定める技術的基準に従って警報設備を設けたものを除く)
  • 旅館の用途に供する2階部分までの床面積合計が300㎡以上の建物
【ポイント】 具体的な条件となる①階数要件②床面積等の数値だけは契約前にしっかりと確認するようにしてください。

既存不適格物件に気を付ける

中古戸建を旅館業に転用しようと考えているときは注意が必要です。
前の所有者が建物を増築していて、建蔽率あるいは容積率を超過していると適法な営業ができないからです。

容積率・建蔽率とは?

建蔽率・・・敷地面積に対する建築可能面積の割合。敷地に対して建物面積とできる割合を示す指標。
容積率・・・敷地面積に対する建築物の延べ床面積の割合。建物全体の床面積の総和が、敷地に対してどれだけ占めるか示す指標。

建築時は適法であっても、増築や法律改正などの事由で法律に適合しなくなった建物を既存不適格建築物といいます。 既存不適格建築物は用途変更にあたり、建物全体を現行法に適合させる必要があります。 ※増築部分を撤去する等 建物構造の工事となると莫大な修繕費用が想定されます。契約前に建蔽率・容積率について適合しているか確認しましょう。

旅館業の要件まとめ

既存の一戸建住宅や共同住宅を転用する場合を含めて、200㎡以上の建物を旅館業として使用するには「用途変更」の届出が必要になります
200㎡以下であれば、用途変更の申請手続きは不要となりますが、建築基準法には適法な状態としておく必要があります。  

旅館業許可を得て民泊を開始するには法律や条例の基準を満たしたうえで、営業許可を取る必要があります。 ここで解説した要件は建築基準法と消防法に規定されていますが、日常で馴染みがないため見落としてしまいがちな法律です

立地や建物構造は、変更したくとも変更できるものではありません。 売買契約を結んだ後に指摘を受けると事業計画や収益性が大幅に狂うリスクがあります。

本記事を参考にして「ああ、やってしまった」とならないよう、効率的に準備を進めてもらえたら嬉しいです。

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