行政書士の横山です。
こちらの記事では東京都大田区の特区民泊について解説します。
この記事を読んでいただければこんな疑問が解決できます。
「特区民泊は普通の民泊と何が違うの?」
「旅館業と特区民泊どちらのメリットが高いか比較したい」
「特区民泊はメリットが大きいと聞いたけど、何が良いんだろう」
「申請代行に依頼したほうがいいか判断材料がほしい」
特区民泊は、国家戦略特別区域法に基づいて行われる民泊で、旅館業や新法民泊(住宅宿泊事業)とは異なる特徴があります。
詳しく解説していきますので、ぜひ目を通してください。
民泊制度の比較
特区民泊、旅館業、住宅宿泊事業をまとめるとこんな感じになります。
特区民泊と旅館業・住宅宿泊事業との違い(グラフ)
| 区分 | 特区民泊(大田区) | 旅館業 | 住宅宿泊事業 |
|---|---|---|---|
| 申請制度 | 認定制 | 許可制 | 届出制 |
| 対象地域 | 特定地域 | 住居専用地域不可 | 住居専用地域可 ※条例の制限で不可の場合もある |
| 宿泊日数 | 最低2泊(1泊宿泊は不可) | 制限なし | 年間180日以内 |
| 施設基準 | 比較的緩い | 厳しめ | 比較的緩い |
| 消防設備 | 必要 | 必要 | 必要※家主居住型は緩和 |
| 地域住民への説明義務 | 必要 | 不要 | 必要 |
| ごみ処理法 | 事業系ごみ | 事業系ごみ | 事業系ごみ |
| 苦情対応 | 10分~30分以内 | 必要 | 10分~30分 |
特区民泊の最大のメリットは
【旅館業より低い施設基準でありながら、365日運営できること】
にあります。制度の詳細をこれから詳しく解説していきます。
特区民泊の特徴
①申請ルールの違い
特区民泊は「認定制」、旅館業は「許可制」、住宅宿泊事業は「届出制」となっています。
許可制と届出制の違いって?
「申請」という言葉で一括りに記載されていることもありますが、下記の通り定義されます。
- 届出制・・・行政の「承認」や「許可」は必要なく、書類の不備等さえなければ提出自体で要件を満たします。
行政は届出内容を確認し、法令違反があれば指導や罰則を科すことができますが、許可制ほど厳密
な事前調査が行われることは少ない。 - 認可制・・・特定の活動や契約が有効であることを行政機関が承認する制度で、特区民泊は認可制です。
承認なく行った場合は効力をもちません。学校法人の設立も認可制です。 - 許可制・・・特定の活動を行うために、行政からの事前の許可や承認を得る必要がある制度です。許可を得るた
めには厳格な審査があり、届出制よりも手続きに時間がかかることが一般的です。
許可を得た後でも基準を満たさなくなった場合や違反があった場合、行政が許可を取り消すことが
あります。
ざっくり解説すると
さらに簡単に解説すると、3つの違いは手続き完了までの難易度の差です。
【難易度の差】
届出制(難易度レベル1)<認可制(難易度レベル2)<許可制(難易度レベル3)
という感じで認識してもらえれば問題ないです。
許可までにかかる期間も難易度に比例します。
②対象地域
特区民泊を実施できるのは下記の地域のみとなります。
- 東京都大田区
- 千葉県千葉市
- 新潟県新潟市
- 福岡県北九州市
- 大阪府(大阪市,八尾市,寝屋川市)
ポイント
- 記載のない地区でも旅館業と住宅宿泊事業に基づく民泊は可能
- 条例,地区計画,特別用途地区等の規定で実施ができない地域があるので注意が必要
例えば東京都大田区だと
→第二種住居地域、準居住地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、第1種居住地域でが実施可能だが、それ以外は特区民泊の対象外地域となります。
③宿泊日数
- 住宅宿泊事業・・・1年間で180日以内の宿泊日数制限がある
- 特区民泊 ・・・1泊のみの宿泊者は受入れできない(2泊以上のみ) ※ただし365日営業可能
- 宿泊業 ・・・制限なし
④施設要件基準の差
建築物には用途区分が定められています。
あなたが普段寝泊まりしている自宅やマンションの区分は「住宅、長屋、共同住宅」となっており、居住の用途となります。
一方、旅館業として民泊の営業許可を取得する場合、用途区分は「ホテル等の用途」となります。
民泊など宿泊施設は不特定多数のゲストの出入りが想定されますので、防災要件が高く設定されています。
実際に「ホテル等の用途」では、建築基準法や旅館業法等で建築施設基準が厳しくなります
厳しくなる基準の例
- 耐火性能
- 耐震性能
- 給排水設備要件
- 接道要件
これらを設備工事には相応の費用(数十万円~数百万円)が想定されるため大きな参入障壁となっていました。
特区民泊なら話は別
特区民泊は旅館業法が適用されない特定制度です。
特区民泊については建物用途を「住宅、長屋、共同住宅」のままで営業できますので、上述した建物要件基準は課されません。
施設基準のリスクが少なく、365日/年で運営が可能なことは特区民泊の大きな利点です。
⑤消防施設
特区民泊、旅館業、住宅宿泊事業いずれの民泊であっても消防施設の設置は必須で、旅館業と要件がほぼ変わりません。
施設の規模に応じて消防法に適合する消防設備が必要となります。
民泊営業の要件として自動火災報知設備(警報設備)、誘導灯(避難設備)、建築基準法の設置要件として非常照明の3つは必須となります。
設置後の届出も必須です↓
⑥地域住民への説明義務
特区民泊での営業を行う場合、地域住民への事前説明が必要となります。住宅宿泊事業や旅館業でも同様です。
元来、宿泊業が想定されていない地域で開業できる裏返しでもあります。
通常の住宅を宿泊施設として提供するため、事前に適切な説明を行うことで、トラブルを未然に防ぐことが重要です。
東京都大田区の場合、建物から10m以内の住民に説明義務があります。
【近隣住民への説明事項】
- 事業を行う代表者の氏名
- 事業を行う代表者の所在地(施設名と部屋番号まで)
- 苦情および問い合わせを受けるための連絡先(主に代表者か住宅宿泊管理者の連絡先)
- 廃棄物の処理方法(民泊関係の廃棄物は産業廃棄物なので、その旨と回収頻度など)
- 火災等の緊急事態が生じた場合の対応方法
⑦ごみ処理法
民泊で宿泊者が置いていったゴミは家庭ゴミとして捨てることはできません。
※ゴミ捨て場所に置いたらダメです。
業者へ依頼し、産業廃棄物として個別に廃棄しなければなりません。旅館業、住宅宿泊事業法の民泊であっても同様です。
産業廃棄物業者一覧は各自治体HPに公開されていることが主なので、自分自身で交渉・契約が可能です。
まとめ
特区民泊は、旅館業と住宅宿泊事業の中間的な位置づけといえます。
旅館業のような厳格な規制がなく、住宅宿泊事業のような自由度も高い点が特徴です。良いとこ取りの制度ですね。
しかし、対象地域が限定されているため、どこでもできるわけではありません。
どの制度を選ぶかは、下図の通りを参照してください。
東京都大田区で民泊をお考えの場合は特区民泊での実施を強くおすすめします。
- 短期間の滞在に対応したい → 住宅宿泊事業
- 長期滞在に対応したい → 特区民泊、旅館業
- 大規模な施設を運営したい → 旅館業
各制度のメリット・デメリットを比較検討し、最適な制度を選んでもらえたら嬉しいです。
| 制度 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 特区民泊 | 認定手続きが比較的簡単、住居専用地域での運営が可能 | 対象地域が限定される、施設基準が厳しい |
| 旅館業 | 宿泊日数に制限がない、要件を満たせば自由度が高い | 許可取得が難しい、初期費用が高い |
| 住宅宿泊事業 | 申請手続きが比較的簡単、既存の住宅を利用できる | 宿泊日数に制限がある、地域によっては条例の規制が厳しい |











