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【消防法の教科書】戸建民泊で必要な消防設備を完全ガイド

戸建(一軒家)を活用した民泊営業が流行っています。
民泊では消防設備の準備と各種手続きがないと営業許可が取れません。

本記事は、消防設備の前提知識から、民泊に必要な消防設備の要件を徹底解説します。

適切な知識を身につけ、安全で安心な民泊運営を目指しましょう。

【あなたが得られるメリット】 ①民泊の消防要件と費用が分かる(戸建民泊) ②消防署手続きの流れとコツが分かる

ぜひ目を通してください。

 

民泊と住宅の扱いの違い

まず理解しておきたいのは、住宅を民泊に転用したときの「扱いの違い」です。

住宅を民泊用途(有償で人を宿泊させる)に変更する場合
消防法ではホテルや旅館と同じ「特定防火対象物」として扱います。

ただし住宅宿泊事業の家主居住型
「宿泊室の床面積」50㎡以下の場合は、消防法上は「一般住宅」と同じ扱いです。

この場合は住宅と同様の設置基準で済みます。
3,000円程度で売っている住宅用の火災報知機で基準を満たすことができます。

ポイント
「宿泊室の床面積」とは就寝部屋の床面積を指します。
「建物全体の床面積」ではありません。

宿泊室の床面積50㎡超というのは相当広い戸建です。
ゲスト滞在時に不在とならないなら、ほぼ家主居住型として扱うケースがほとんどでしょう。

消防法上の扱い 家主不在型 家主居住型
宿泊室50㎡超 ホテル・旅館(厳しい) ホテル・旅館(厳しい)
宿泊室50㎡以下 ホテル・旅館(厳しい) 一般住宅(易しい)

よって住宅扱いと宿泊施設扱いを分けるポイントは

  • 家主が同居するか
  • 宿泊室床面積が50㎡超か否か

の2点になっています。

あなたの民泊は消防法で「住宅扱い」なのか「宿泊施設扱い」なのか確認してください。


宿泊施設に該当するのであれば
消火器、火災報知設備、誘導灯といった消防設備を整える必要があり、要件も複雑になります。

建物規模で変わる設置要件

まず「自分の民泊施設にどんな消防設備が必要なのか」を知る必要があります。

消防設備は警報設備、消火設備、避難設備の3分類があり、建物の広さや階数で設置要件が変わります。

  1. 警報設備・・・自動火災報知機、非常警報器具、放送設備など
  2. 消化設備・・・スプリンクラー装置、消火器、室内消火栓設備など
  3. 避難設備・・・避難はしご、誘導灯など

このうち戸建民泊で必ず必要な設備は

  • 自動火災報知機
  • 誘導灯

の2つです。

自動火災報知機

自動火災報知機とは火災で生じる熱や煙を感知し、火事を建物内の知らせる装置です。
民泊では建物全体に自動火災報知機を設置する必要があります。

建物全体に張り巡らす有線式の自火報システムは、機器代と電気工事費を含めて100万円程度の費用がかかります。


なお設置は消防設備士の資格者に依頼しなくてはなりません。

特小自火報

2階以下かつ延面積300㎡未満の戸建ては
安価な特定小規模施設用自動火災報知設備で基準をクリアできます。


これは無線式の簡易な火災報知器で
消防設備士でなく誰でも取付け可能なため工事費を含めて安価です。機器1台あたり数万円程度で購入できます。

一方で、建物が3階建て以上または延面が300㎡を超える場合は、
本格的な有線式の自動火災報知設備が必要です。

機器代と工事費が高くなるため、物件を選ぶときから気をつけましょう。

誘導灯と非常用照明ついて

宿泊者が安全に避難するための誘導灯非常用照明を設置する必要があります。

これらの機器はインターネットやホームセンターで購入ができますが
取付には配線増設工事が必要となるケースがほとんどです。

よって電気工事士の資格保有者が取付けることができるので、

誘導灯と非常用照明の設置はまとめて依頼できると良いでしょう。

避難口誘導灯の設置

避難口誘導灯とはピクトグラム(走る人のマーク)で出口方向を示す照明設備です。
日本語が読めない外国人ゲストでも視覚的に避難経路を理解できるデザインとなっています。

【誘導灯の設置場所】

① 最終避難口(出入口)
② 階段の出入り口
③ 避難口に通じる通路(廊下)への出入り口

避難経路が分かりやすく、すぐ外へ出られる部屋なら、設置しなくてもよい場合があります。
例)掃きだし窓が設けられている部屋など。

非常用照明の設置

停電時に足元を照らす非常用照明の設置も義務付けられています。
電源が切れた際に自動で点灯し、暗闇でも避難路を確保するための照明器具です。

居室、廊下、階段、ロビーなど建物全体に設置が必要ですが、下記の要件を満たす場合は非常用照明の設置が免除されます。

【設置免除要件】

① 1階の居室・・・屋外までの距離が30m以下かつ、採光面積が居室床面積の1/20以上取られている。
② 2階 or 地下1階の居室・・・屋外又は屋外避難階段まで20m以下

※建設省告示1411号

避難口に通じる廊下や階段については免除規定は存在しません
原則、廊下と階段は非常用照明が必要です。

家主居住型の場合は?

家主居住型かつ宿泊室が50㎡以下は、消防法では「住宅扱い:となります。

避難誘導灯や非常用照明の設置は必要ありません。

3階建ては【竪穴区画】に注意

消防設備以外にも3階建で民泊するのに避けて通れない構造要件があります。
それは「竪穴区画」です。

竪穴区画とは?

火事のときに煙や火が上階へ広がるのを防ぎ、安全に避難するための仕組みです

建物の1階で火災が発生したとします。

煙と熱気は上へ上へと急激に広がるので上階はすぐに煙が充満して避難困難になります。
加えて、
階段まで火が広がってしまうと、上の階にいる人は玄関まで避難できません。

一方で、居室と階段が区切られいたらどうでしょうか。
火が広がらない構造なら、上階の人でも安全に避難できます。

竪穴区画の工事費用

200㎡未満の戸建てを想定すると
間仕切り壁“と”遮煙・防火性能のある扉“を設置する工事が必要です。

竪穴区画の要件 壁の構造 床の構造 開口部(扉)の構造要件
①建物主要構造部が準耐火・耐火構造 準耐火構造 準耐火構造 防火設備(建築省告示1360号)
遮煙性能(建設省告示2564号)
②それ以外 仕切り壁 遮煙性能(建設省告示2564号)

この耐火扉が1戸40万円~50万円と費用が高いこともあり、施行費用を合わせて200万~300万円程度が必要です。


費用は高いですが、宿泊見込みのある地域で旅館業を取りたいのであれば、やる価値はあるのではないでしょうか。

住宅宿泊事業での例外

建築基準法で竪穴区画の設置は「3階以上に居室がある場合」と定められています。

そのため、3階を宿泊室や居室として使用しなければ竪穴区画を不要とできるケースもあります。

具体的には、届出書や図面で「使用部分は1・2階のみ」と明記し、階を施錠してゲストの立ち入りを禁止する。

結果として、数百万円に及ぶ竪穴区画工事を回避できます。

大田区の特区民泊でも同様の考え方が取られています。

内装材(カーテン・カーペット)の規制

ホテルや旅館と同様、民泊施設では火災時の延焼拡大を防ぐため内装材の防炎規制があります。


具体的にカーテンやカーペットは防炎物品でなければなりません。

カーテンは絨毯・カーテンは一度着火すると室内から天井まで急速に拡散し、避難を困難にする危険性が高いため。

防炎物品の見分け方

防災物品とは消防庁長官の認定を受けた防炎性能を有する製品で、防炎ラベルが付与されています。

こういうやつです

例えば防炎カーテンには端部に防炎ラベルが縫い付けられており、一目で判別できます。

例えばニトリで売っている100cm×180cmサイズを例にあげると
一般住宅用の安いカーテンはで3,000円程度で売っていますが、防炎ラベル付カーテンは10,000円程度で販売されています。

民泊開業にあたっては一般住宅用の安価なカーテンやカーペットを購入せず、必ず防炎ラベル付きの商品を選んでください。


また、壁紙や天井材については建築基準法での内装制限(難燃材料の使用など)が関係しますが、
戸建て民泊の規模だと既存のままで問題ないことが多いです。

まとめ

民泊を安全に運営するためには、消防設備の整備が欠かせません。
特に戸建てを活用した民泊では、自動火災報知機・誘導灯・非常用照明・竪穴区画・防炎カーテンやカーペットなど、建物の規模や運営形態に応じた設備が必要となります。

「住宅扱い」か「宿泊施設扱い」かによって求められる基準は大きく異なり、設置工事の有無や費用負担にも直結します。
また、消防署との協議や建築基準法との兼ね合いを踏まえた準備を怠ると、営業許可が下りなかったり、思わぬ追加工事で数百万円の出費につながることもあります。

本記事で解説した内容を参考に、自分の民泊に必要な消防設備を正しく把握し、早めに準備を進めることが安心と信頼につながります。
安全な環境を整えることこそが、リピーターに選ばれる民泊運営の第一歩です。

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