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【旅館業法】営業許可のポイントとは?旅館・ホテルと簡易宿所の違いまで徹底解説

旅館業の申請代行(保健所)

198,000円(税込)~

「旅館・ホテル」あるいは「簡易宿所」を民泊に活用する「旅館業型民泊」が最近増加しています。
2016年~2017年に旅館業法が改正され、旅館業を実施するための要件が大きく緩和されたからです。

しかしながら旅館業を始めたいけれど、
旅館・ホテル営業、簡易宿所の違いがわからない
どの営業許可がベストなのか分からない
と迷っていませんか?

旅館業は「旅館・ホテル営業」「簡易宿所営業」「下宿営業」の3種類が定められており
それぞれ設備要件や運営の条件、申請要件が異なります。

本記事では旅館業法における営業形態の違いと、許可取得のポイントを整理していきます。

ぜひ最後まで目を通してもらえたら嬉しいです。

旅館・ホテル営業の構造要件

旅館・ホテル営業には2つの立地要件があります。

①接道要件

原則として建築物(旅館業施設含む)は幅員4m以上の道路に2m以上接していなければなりません。
いわゆる「再建築不可」は旅館業の営業許可をとることができません。

※注意:東京都は接道要件が厳しいため要注意。※東京都建築安全条例により4m以上の接道が必須。

②用途地域の要件

「住居専用地域」では旅館業の営業許可をとることができません。

住居専用地域はいわゆる閑静な住宅街エリアであり、住環境と景観確保が優先される土地柄です。
不特定多数が出入りする旅館業や店舗が制限されているためです。

住居専用地域でも住宅宿泊事業(新法民泊)は開業可能です。

客室面積

旅館・ホテル営業では宿泊客に個室を提供するのが基本です。
各客室の広さに最低基準があり、1室あたり7㎡以上、ベッドを置く洋室の場合は9㎡以上と定められます。

ビジネスホテルから高級ホテルまで規模にかかわらず適用されます。

フロント設備

旅館・ホテル営業では玄関帳場(フロント)の設置が義務付けられます。
フロントとは宿泊者のチェックイン手続きを行い、帳簿(宿泊者名簿)の記載や鍵の受け渡し、宿泊者以外の出入り確認などを行う設備です。

具体的にはカウンター等を設置し、非常時に迅速な対応ができること、宿泊者名簿を正確に記載できること、鍵の適切な管理と部外者の出入り監視ができることといった条件を満たす必要があります。

2018年の法改正により一定のICT機器を導入していれば無人チェックイン運営も可能となりました。
例えば、専用の自動チェックイン機やタブレットを設置し、ビデオカメラで宿泊者本人確認を行う仕組みや、非対面での鍵の受け渡し(スマートロック等)を備えれば、フロントに常駐スタッフがいなくても許可されます。

なお無人フロントを導入する場合でも、後述する非常時の駆け付け体制(おおむね10分以内にスタッフが対応できること)は必須です。

衛生設備

宿泊施設として適切な換気・採光・照明が確保され、防湿(湿気対策)および排水設備が必要です。
具体的には窓や換気扇による通風、採光のための窓面積の確保、浴室・トイレ・洗面所の設置も必要です。

基本的には宿泊者の需要を満たす浴室を備えるべきですが、都市部のビジネスホテルなど客室にユニットバスがある場合はそれで足ります。
施設近隣に公衆浴場があり、容易に入浴できる環境がある場合は館内に浴室を設けなくても構いません。

トイレ・洗面についても同様で、各部屋に設けるか共同のものを必要な数配置します。

簡易宿所営業の構造要件

施設形態

簡易宿所営業は1つの客室スペースをカーテンや簡易間仕切りで区切り、多数の宿泊者を収容する形態です。
ゲストハウスやドミトリー(相部屋)型ホステル、カプセルホテル、山小屋などが該当します。

浴場やトイレ・洗面所も共同使用が基本で、旅館・ホテル営業に比べると構造設備要件は緩和されています。

客室面積

簡易宿所では個々の客室ではなく、客室全体の延床面積に対して基準が設けられています。
原則として延べ33㎡以上が必要ですが、計画する宿泊定員が10名未満である場合は宿泊者1人あたり3.3㎡確保されていれば構いません。
例えば定員8名のゲストハウスであれば、3.3㎡×8人=26.4㎡以上の客室スペースで要件を満たします。

これは小規模な民家を改装してゲストハウスにする場合など、小人数で運営するケースに配慮した規定です。

簡易宿所であっても完全個室の客室を設けること自体は可能ですが、全客室面積の2分の1未満に収まるようにしなければなりません。
※施設半分は相部屋空間であることが求められる

設備要件


簡易宿所も基本的な衛生設備要件(換気・採光・照明・排水、防湿、浴室・洗面・便所の設置)は旅館営業と共通です。
一方で玄関帳場(フロント)の設置義務がありません。

これは旅館業法施行令に簡易宿所に関するフロント設備の規定が置かれていないためフロント無しで運営できます。
無人チェックイン運営は簡易宿所で先行的に普及しており、多くの小規模ゲストハウスではオーナーが日中のみ対応し夜間は非常時だけ呼び出す形態などが認められています。

ただし自治体の条例で簡易宿所にもフロント設置を求めるケースがあるため計画地の条例ルールの確認が必要です。
後述する非常時の対応体制は別途求められます。

共同設備

簡易宿所では宿泊者同士が施設内の設備を共用するため、設備計画においてプライバシーと衛生に十分な配慮が必要です。
例えばトイレは少なくとも男女別で1箇所ずつ必要(男女で最低2か所)で、この要件のためワンルームでの簡易宿所は実質的に不可能といえます。

洗面所やシャワーも利用人数に見合った数を用意し、可能であれば男女分けることが望ましいでしょう。
また、二段ベッドを設置する場合には上下段の高さに余裕を持たせる必要があります(約1m以上)。

補足規程・条例について

地域の条例により要件の強化・緩和があるため確認する必要があります。
例えば東京都では簡易宿所は窓先空地の確保が要求されます。

窓先空地とは?

住戸の窓の正面に道路が面していないとき、採光・通風及び避難上有効な空地を用意する必要がある制限です。

緊急時の対応体制について

フロント無人でも営業できる分、緊急対応体制の整備が構造要件ではなく維持管理要件として規定されています。
具体的には、施設従事者やスタッフが概ね10分程度で現場に駆け付けられる体制が必要があります。

例えばオーナーや管理人が徒歩圏内に居住している場合や、近隣に待機事務所を構えている場合、あるいは警備会社と契約して非常ボタン押下で急行してもらう等の方法が考えられます。
この「10分ルール」はあくまで目安ですが、東京都など多くの自治体で通知等により周知されています。
宿泊者が安心して利用できるよう、緊急時の連絡先や対応手順を館内掲示しておくことも大切です。

下宿営業と定期借家契約

下宿営業は1か月以上の長期滞在者を受け入れる宿泊形態です。
昔ながらの学生下宿や社員寮、下宿人に朝夕の食事を提供するような家庭的な宿などが該当します。

利用者は生活の本拠(住民票上の住所)を置かずに滞在する点で賃貸マンションとは異なります。
現在では月極のマンスリーマンションやシェアハウスとの競合もあり件数は多くありませんが、例えば学生寮を事業として行う場合などには下宿営業の許可取得が必要になります。

しかしながら、2000年に「定期借家契約」の制度が誕生したことにより下宿営業の施設数は減少し続けています。
旅館業法の規制を遵守義務が生じる下宿営業よりも、「1か月以上の定期借家契約」を利用した不動産賃貸契約の方が選好されるためです。
※制度創設以前は期限が1年以内とする建物の賃貸借契約は期限の定めのない賃貸借契約とみなされていたため、営業許可を取得するメリットがあった。

2025年現在、下宿営業は定期借家契約でほぼ代用可能となったため、下宿営業について考慮する必要はないでしょう。

営業許可取得の手続き4STEP

旅館業はいずれの形態であっても都道府県知事(保健所設置市や特別区では市長・区長)の許可を受ける必要があります。
許可申請には各種書類を準備し、保健所による審査・現地調査(立入検査)を経て、営業許可となります。

以下では、許可取得までの一般的な手順を4stepに分けて解説します。

①事前相談・計画準備



物件の所在地や建物の用途地域を確認し、まずは所轄の保健所に事前相談することをおすすめします。
営業形態(旅館・ホテルか簡易宿所)や客室レイアウトの概略を伝え、満たすべき構造基準についてアドバイスを受けます。

また並行して消防署の相談し、消防法令上の設備(消火器、自動火災報知機、非常照明、誘導灯など)について必要設備を確認します。
200㎡を超える建物は建築基準法の用途変更手続きが必要になるので建築士に依頼します。

②申請書類と図面準備

施設の設計・改装プランが固まったら、必要書類一式を準備します。
主な提出書類の例は以下の通りです。(自治体によって様式や追加書類の有無が異なりますがある程度は共通です)

    1. 旅館業営業許可申請書…営業者や施設概要、構造設備の概要を記載
    2. 誓約書・申告書… (欠格事由)に該当しないことの宣誓書
    3. 周辺見取図… 半径おおむね100m範囲の地図に住宅や学校など保護施設の位置を示した図
    4. 敷地配置図・各階平面図・立面図… 建物の配置や内部間取りがわかる図面。客室の寸法(面積)が明記されたもの
    5. 設備詳細図… 玄関帳場(フロント)の構造図や、二段ベッド使用時の断面図。浴槽・ろ過装置の配管図(該当設備がある場合のみ)
    6. 給排水関係書類… 上水が水道以外(井戸水等)の場合は水質検査成績書、浄化槽を設置する場合は計画書類など。
    7. 権利を示す書類… 建物の登記事項証明書および土地建物の賃貸借契約書等、営業施設として使用する権利を有することを証明する書類
    8. 法人書類(法人申請の場合)… 会社の定款写しや登記事項証明書、役員名簿など
    9. 消防関連書類… 消防法令適合通知書または検査済証の写し(消防署が発行したもの)
    10. 営業管理資料(要求される場合)… 物件管理の手引き(ハウスマニュアル)。想定する営業日・営業時間、宿泊料金体系、緊急連絡先、管理人の所在などをまとめたもの

以上を揃え、所定の申請手数料を納付して申請を行います。提出が完了したらいよいよ書類審査が開始されます。
※提出書類に不備がある場合、書類補正の連絡が入ります。

③現地調査(立入検査)

書類審査に問題がなければ、保健所の環境衛生監視員が現地調査に訪れます。
実際に施設が申請書のとおりにできているか確認し、客室の面積を測定したり、設備等の稼働状況をチェックします。

消防設備についてもこの時点で消防署員による立会検査が行われます。
チェック項目は多岐にわたりますが事前に保健所と相談し対応できていれば大きな問題は起きにくいです。

④許可証の交付

現地調査をクリアし、すべての基準適合が確認されると営業許可が正式に下ります。
許可までの所要期間は自治体にもよりますが、申請書類受理から概ね2~4週間程度が一般的です。

ただし、学校など保護施設に近接する場合や申請書類の補正対応が遅るとさらに1ヶ月以上かかるケースもあります。
許可が下りると許可証が交付されますので、営業施設の見やすい場所に掲示してください。

ここまで完了して営業開始ができるようになります。

許可取得に関する留意点

営業者の地位承継

従来、旅館業許可は施設・営業者ごとに交付されます。
仮にホテル物件を他人に売却しても許可の引継ぎはできず、新オーナーは改めて許可申請が必要でした。

しかし2023年12月の法改正で、この取り扱いが緩和されています。
営業者が施設を他者に譲渡する場合、所定の承継手続を行えば新たに許可を取り直すことなく営業者の地位を引き継げるようになりました。

これによりホテルの買収・事業譲渡時の手続きが大幅に円滑化されています。
ただし承継後6ヶ月以内に保健所が新営業所の調査する義務が定められており、引き継いだ後も当面は適切な運営がなされているか行政からチェックが入ります。

宿泊者名簿の扱い

宿泊者名簿(宿帳)の整備は旅館業者の義務であり、宿泊者から氏名・住所・連絡先を聞き取って記載し一定期間保存する必要があります。
感染症発生時の連絡追跡を容易にする目的で、今後は宿泊者全員について連絡先情報まで名簿に残す必要があります。
フロントでのチェックイン時には本人確認と合わせて連絡先の記入まで依頼してください。
また、名簿は公安委員会や保健所から求められたとき提出できるよう管理し、5年間の保存義務を守る必要があります。

当事務所のサービスについて

当事務所は旅館業・民泊開業を目指す方に向けて以下のサポートを提供しています。

・旅館業、新法民泊の営業許可診断
・保健所、消防署との事前相談の代行
・地域住民への周知作業の代行
・非常用照明の設置場所助言

・消防用設備に関する必要書類一式の作成・提出サポート

最適な進め方を一緒に検討し、許可取得までサポートいたします。

「自分の物件で本当に許可が取れるのか不安」
「改正前に営業認定をとりたい….」

という方も、まずはお気軽にご相談ください。

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